コラム

『8番出口』が全世界300万本。模倣作を止めなかった開発者の判断

『8番出口』が全世界300万本。模倣作を止めなかった開発者の判断

PLAYISM が9月7日、『8番出口』の全世界累計販売本数が300万本を突破したと発表しました。2023年11月29日に Steam で出た、470円のゲームです。

作ったのは KOTAKE CREATE という個人の開発者。地下通路を歩いて異変を探すだけの、短い作品でした。この3年近くで起きたことは、1本が売れたという話には収まりません。

3年目に入っても、売れる速度が落ちていない

公表された数字を順に並べます。100万本は2024年8月8日で、Steam 版と Switch 版の累計でした。2025年3月に150万本を超え、同年8月30日に200万本。そして今回の300万本です。

気になるのはペースです。最初の100万本まで8か月ほど。そこから200万本までが約1年で、300万本までもまた約1年でした。発売から2年9か月がたっても、速度がほとんど落ちていません。

支えたのは、置ける場所を埋め続けたことでしょう。Switch が2024年4月、PS4/PS5 が同年8月、Xbox Series X|S が2025年1月と続きました。

iOS・Android 版は2025年3月、Switch 2 版が同年8月です。新しい機種が出るたびに、売り場が一つずつ増えています。PC 版の価格や対応環境と、300万本の記念セールの条件はSteam のストアページにまとまっています。

「8番ライク」の広がりを、作者は止めなかった

この間に、駅や通路を歩いて異変を探す作品が次々と現れました。まとめて「8番ライク」と呼ばれています。名付けたのは市場のほうです。

作者はそれを容認してきました。2024年6月のAUTOMATON のインタビューでは、ジャンル名として広まっている前提で話が進みます。本人はこう答えています。

アイデアに著作権はありませんからね

同じ取材で、作者は刺激を受けた作品も挙げています。『偽夢』『Victor’s Test Night』『DEAD END』の3本です。追う側と追われる側が、この時点で一方通行ではなくなっていました。

後半の1年は、映画の1年と重なっている

200万本の発表は2025年8月30日でした。その前日、8月29日に実写映画『8番出口』が全国407館で公開されています。配給は東宝、主演は二宮和也さんです。

興行収入は国内で最終51.7億円、世界では約4,389万ドルに達しました。インディーゲーム発の実写映画でこの規模に届いた例を、けん玉はほかに知りません。

つまり200万本から300万本までの1年は、映画が公開され、話題が続いた1年とそのまま重なります。

ただ、売れ行きが落ちなかった理由が映画にある、とは言えません。PLAYISM が内訳を出していないからです。重なっているという事実だけを、ここでは置いておきます。

けん玉の見方

作者は続編『8番のりば』を2024年5月に出したあと、シリーズはそこで終える予定だとファミ通の取材に答えています。次は『STRANGE SHADOW』という別の作品です。300万本を出した題材を、自分では引き延ばさない選択をしています。

模倣を止めなかったことと、この判断は地続きだと思います。自分が続けない代わりに、他人が続ける余地を残した。権利を振りかざして狭く守る道もあったはずですが、そちらは選ばれませんでした。

もっとも、類似作が実際に何本出ているのかを数えた資料はありません。氾濫という言葉は店頭やストアの印象から来たもので、数字の裏付けがあるわけではないのです。確かめられたのは、作者が追随を容認し、自分は次へ行った、という順番だけでした。

その順番が効いた、と見ています。470円のゲームが300万本に届いた要因は、異変を探す遊びの手触りだけではないはずです。

真似を止めなかった結果、個人の1本が「ジャンルの最初の作品」という場所に座りました。映画と同じで、これも数字で切り分けられるものではありません。けん玉の見立てです。

答え合わせは、次作『STRANGE SHADOW』が出たときにできます。8番の名前を外した作品が同じように届くなら、効いていたのは題材ではなく、ジャンルを開いた立ち位置のほうです。

大手の販売網と資金を先に揃えて当てた新興スタジオの100万本とは、勝ち方がまるで違います。片方は条件を集めてから出しました。もう片方は、条件を持たない代わりに、真似される速さを味方に付けています。

読む側にとっては470円の話です。迷う額ではないと思います。

※ 「8番ライク」と呼ばれる作品の総数は一次情報を確認しきれていないため、誤りがあればお問い合わせからお知らせください。

関連商品広告

以下のリンクから商品を購入されると、当サイトに紹介料が支払われることがあります。価格や在庫は変わることがあるため、各ストアでご確認ください。

8番出口

地下通路の異変を探すウォーキングシミュレーター

関連記事

購入ガイド––PlayStationPC / SteamNEW

デス・ストランディングはどれから遊ぶ? 続編『2』に前作は必要か、2027年のアニメとの順番

『デス・ストランディング』は初代と続編『2』のどちらから遊ぶか。『2』は前作の11か月後の話で、公式は独立した続編と紹介しています。Steamの定価は4,980円と8,980円で、どちらも日本語音声付き。2027年配信のアニメとの順番も整理しました。