「Xbox は何台売れたのか」。そう思って調べ始めると、途中で行き止まりになります。
Xboxの販売台数はなぜ非公表になったのか。最後の公式値8400万台から12年

マイクロソフトが Xbox 本体の台数を公式に出したのは、2014年6月の8400万台が最後です。Xbox 360 の出荷数でした。翌2015年からは、決算資料に台数の記載がありません。
初代 Xbox の北米発売は2001年11月15日でした。この11月で25年になります。台数を語らなくなってからの12年は、その約半分にあたる長さです。
日本での発売は2002年2月22日、34,800円でした。3か月後の5月22日には24,800円へ下がっています。日本で25年になるのは2027年2月なので、こちらはまだ少し先です。
8400万台で止まったままの数字
この数字が示されたのは、その年の E3 の場でした。当時のマイクロソフトは、節目ごとに台数を出す会社だったわけです。
360 の生産は2016年4月に終わっています。ただ、その時点の最終的な台数を出し直した形跡は、けん玉が調べた範囲では見当たりません。
そして2015年、マイクロソフトは四半期決算からコンソール台数の記載を外しました。Xbox One も、Xbox Series X|S も、定例の開示対象には戻っていません。
台数をやめた理由は、2023年に語られていた
理由が公の場で語られたのは2023年11月28日です。当時 Xbox の最高財務責任者だったティム・スチュアート氏が、ウェルズ・ファーゴのカンファレンスで説明しました。
本人の言葉では、コンテンツとサービスの収益が「目指すべき北極星」だとされています。本体が何台売れたかではなく、そちらで測るという意味です。
負けている側の言い訳としても読める説明です。ただ、事業の形が変わったという主張自体は筋が通っています。Xbox は今、本体を持っていない人にも売る商売になっているからです。
代わりに出てくる数字は、数える範囲が広い
まったく数字が出ないわけではありません。2023年7月、マイクロソフトは Xbox Series X|S の累計2100万台を自ら示しました。ブラジルの BIG Festival でのプレゼンテーションです。
決算の定例開示ではない、一度きりの提示でした。前へ出てくるのは、別の物差しです。Game Pass の加入者数は2024年2月15日に3400万人と発表されました。同年7月末の決算では、ゲーム部門の月間アクティブユーザーが5億人を超えたとサティア・ナデラ氏が述べています。
ただし5億人は、キャンディークラッシュなどモバイル作品まで含む合算値です。Xbox 本体を遊んでいる人の数ではありません。台数より大きく見える数字が、台数より広い範囲を数えているのは当然のことです。
他社の数字も「実売」ではない
比べる相手も見ておきます。ソニーは PS5 の累計出荷台数を四半期ごとに開示しており、2026年6月末時点で9530万台です。任天堂も同じ時点で Switch 2 の販売台数2368万台を公表しています(ソフトは5817万本)。
どちらも決算のたびに更新され、誰でも同じ場所で追えます。任天堂の数字は公式のゲーム専用機販売実績に並びます。
ただし、ソニーが出しているのは小売店へ渡った出荷数で、消費者が買った実売数ではありません。「他社は売れた数を正直に出しているのに Xbox だけ隠している」という単純な図式ではないのです。
それでも差は残ります。四半期ごとに投資家へ説明し続ける枠に、その製品が入っているかどうかという差です。ソニーと任天堂の据置機はその枠にいて、Xbox はいません。
けん玉の見方
台数を出さない選択は、Xbox が本体を売る商売から半分降りたことの表れだと、けん玉は見ています。
2024年、マイクロソフトは自社スタジオのソフトを他社機へ広げました。『Hi-Fi RUSH』『Pentiment』が PS5 と Switch に、『Sea of Thieves』も他社機に出ています。
ソフトが他社の機械でも売れるなら、自社の機械が何台あるかは社内での重み付けが下がります。数えなくなったのではなく、数える意味が薄れたということです。
数字が出ない話は、SIE の PSVR2 でも書きました(PSVR発売から10年、公表された台数は「500万台」が最後)。ただ、あちらとこちらは事情が違います。
PSVR2 はもともと四半期の開示に入っていない周辺機器で、数字が出ないのは最初からの扱いです。Xbox は入っていた本体が、途中で枠から外れました。同じ「非公表」でも、後者は方針を変えた側の話になります。
読者にとって実害があるかというと、正直あまりないと思います。遊びたいソフトが動くかどうかが判断の中心で、本体の累計台数は買い物の役に立ちません。買うか待つかを台数で決める人は、そもそもいないでしょう。
それでも、25年続いたハードが「何台売れたか」に答えられないのは据わりが悪い話です。答え合わせの日は決まっています。11月15日の25周年に、マイクロソフトが台数に触れるかどうかです。
触れずに Game Pass と利用者数だけで祝うなら、この12年の説明はもう終わったということでしょう。けん玉はそちらに賭けています。
※ Game Pass の加入者数は最新の一次情報を確認しきれていないため、誤りがあればお問い合わせからお知らせください。




