スクウェア・エニックス・ホールディングスが四半期ごとに出す「決算のお知らせ」には、会社概要として主要シリーズの累計本数が載っています。2026年8月10日に出た2027年3月期第1四半期の資料では、ファイナルファンタジーシリーズが全世界累計出荷本数とダウンロード販売本数の合計で2億1200万本以上。ドラゴンクエストシリーズは9700万本以上です。
ファイナルファンタジーは累計2億1200万本。決算資料に載る数字と載らない数字

宣伝用に丸めた数字ではなく、投資家向けの資料に載る数字です。ただし、そのまま「1987年からの総販売本数」と読むと間違えます。
2億1200万本は、遊ばれた数ではない
この数字はパッケージ版の出荷本数と、本編のダウンロード販売本数を足したものです。ただしダウンロード分は、注記によれば2015年4月以降しか入っていません。それ以前に配信された旧作のダウンロード版は、売れていても合計に乗らないということです。
もうひとつ、出荷本数は小売店に卸した本数で、実際に売れた本数とは一致しません。シリーズの規模をつかむには十分ですが、「2億人が遊んだ」とは読めない数字です。
2億本を超えたこと自体は、ファイナルファンタジーの公式サイトが2025年3月14日に発表しています。ピクセルリマスターシリーズが500万本を突破した告知と同じ日でした。そこから1年5か月で1200万本ほど積み上がった計算になります。
止まっているのは1本ごとの数字のほう
シリーズ合計は更新されていく一方で、ナンバリング1本ごとの数字はここ数年ほとんど出てきません。
『ファイナルファンタジーXVI』は2023年6月28日に、発売から約1週間で300万本という数字が発表されました。ただ、その後の累計を更新した公式発表は見当たりません。2024年2月発売の『ファイナルファンタジーVII リバース』は、私が探した範囲では累計本数の公式発表そのものが見つかりません。
数字が出ているものもあります。『ファイナルファンタジーXIV』は2024年1月に全世界3000万アカウントを発表しました。ただしこれは登録アカウント数で、無料体験版を含みます。販売本数とは別の指標なので、2億1200万本のほうに単純に足すことはできません。そもそもFF14のパッケージ本数が2億1200万本に入っているのかも、この資料からは読み取れません。
同じ「ファイナルファンタジー」の数字でも、集計の単位がそろっていない。
本数が出ない期に、決算は別の数字を出していた
個別の本数が出てこなかった期の決算には、別の数字が載っています。
『XVI』と『VII リバース』を続けて出した2024年3月期、家庭用・PCゲーム(HDゲーム)の区分は売上高992億円で、前期から207億円増えました。それでいて営業損失は81億円。前期の営業損失41億円から赤字幅が広がっています。決算説明会資料は、コンテンツ制作勘定の評価損や廃棄損を計上したことなどによる減益だと説明しています。開発途中で止めたタイトルの費用を落としたということです。
売上は増えたのに損失は増えた。ただしこの損失は開発を止めたタイトルの費用であって、『XVI』や『VII リバース』が何本売れたかを示すものではありません。本数は分からないままですが、この期のあと会社が示す方針は変わります。2025年5月14日の中期経営計画には、HDタイトルにおけるマルチプラットフォーム戦略の推進と、PC展開の強化が明記されました。
けん玉の見方
数字を出すか出さないかは、企業の裁量です。悪い数字を伏せていると決めつけるつもりはありません。ただ、初週300万本は出したのにその先を出さない、という並びを見ると、出したくなるタイミングとそうでないタイミングがあることは分かります。
ここはPSVRの台数が2世代目から公表されなくなった話と似ています。数字が出ない期間そのものが、ひとつの情報として読めてしまう。
そのうえで、2億1200万本という合計は伸び続けています。新作が売れなくても合計は減りませんし、旧作の移植や配信でも増えます。マルチプラットフォーム展開が進めば、同じ作品が別の機種でもう一度数に乗ります。合計の伸びは、新作の当たり外れよりも、既存の資産をどれだけ広く売り直せたかを映しているはずです。決算資料から言えるのはここまでです。ただ、確かめる方法はあります。次の四半期の決算資料で、2億1200万本がどれだけ動くか。そこに個別タイトルの本数が並ぶかどうか。同じ欄を四半期ごとに見比べれば、合計だけが伸びているのか、個別も出るようになったのかが分かります。
ここまで数字の話ばかりでしたが、先の楽しみがないわけではありません。『ドラゴンクエストXII』は2026年5月に開発のリスタートが発表され、サブタイトルも『夢の彼方へ』に変わりました。12月3日には『ドラゴンクエストモンスターズ4 枯れ木の国のビアンカ・フローラ』が控えています。ファイナルファンタジーの次のナンバリングはまだ発表されていませんが、いつか出るはずです。まだ知らされていない新作もあるかもしれません。暗い話ばかりではないので、けん玉はそちらを楽しみに待ちます。
※ 『ファイナルファンタジーVII リバース』の販売本数と、2億本到達までの途中の公表値は一次情報を確認しきれていないため、誤りがあればお問い合わせからお知らせください。




