コラム

セガが5年育てた構想「Super Game」の中止。大作ライブサービスから各社が降りている

セガが5年育てた構想「Super Game」の中止。大作ライブサービスから各社が降りている

2021年5月、セガサミーホールディングスは中期経営計画で「Super Game」を掲げました。全世界に向けた大型のオンラインタイトルを自社から出す構想です。それが2026年5月12日、2026年3月期の決算で正式に中止されました。

同じ時期に、大作のライブサービス型ゲームは他社でも次々と畳まれています。セガの説明は、その流れの理由をかなり率直に言い当てています。

5年で消えた構想

「Super Game」は特定の1本の名前ではありません。中期経営計画で示された方針の呼び名です。「グローバル」「オンライン」「メディア化」「IP活用」の4語が並びます。世界で同時に売れる大型タイトルを自社から出す、という意味でした。

規模も公表されていました。2021年11月、セガサミーは5年間で最大1000億円を投じる可能性があると発表しています。自社開発だけでなく、スタジオの買収も含む額でした。

その構想が、2026年5月12日の決算で終わりました。決算資料が挙げた理由は「運営型ゲームを取り巻く環境変化」です。中止に伴う損失額は公表されていません。

セガが挙げたのは「規模」だった

セガの内海州史 代表取締役社長執行役員 COO が、日経の取材で理由を説明しています。投資と運営の規模を、サービスの大きさに見合うまで膨らませる必要があると分かった。そのうえで、いまそこへ挑むのはリスクが高すぎると判断した。そういう内容です。

セガがこの判断をするのは二度目です。2023年9月、傘下のクリエイティブ・アセンブリがマルチプレイシューター『Hyenas』を中止しました。当時の公式説明は「欧州の各開発拠点のタイトル構成を見直した結果」でした。

決算そのものは厳しい数字です。2026年3月期の特別損失は588億円でした。主因は2023年に買収したRovio Entertainmentなどの減損で、最終損益は赤字に転じています。

ここは分けて読む必要があります。588億円の内訳としてSuper Gameの名は出ていません。決算資料が個別に開示しているのは、Rovioなどの減損のほうです。

降りているのはセガだけではない

2023年12月、ノーティードッグが『The Last of Us』のマルチプレイヤーを中止しました。規模が大きくなりすぎ、スタジオの資源を奪っていたというのが公表された理由です。

同社はこのとき、ライブサービス専業になるか、単独プレイ重視を続けるかの選択を迫られたと説明しています。選んだのは後者でした。

2024年はもっと露骨でした。ソニーの『Concord』は8月23日に発売され、9月6日にサービスを終了しています。購入者には全額が返金されました。10月29日には開発元のFirewalk Studiosが閉鎖されています。

2025年6月には、ユービーアイソフトの『XDefiant』も終わりました。同作を率いたマーク・ルービン氏は、基本無料市場の厳しさを理由に挙げています。プレイヤー数と課金の低迷で、運営の継続が難しくなったという説明です。

ソニーは2022年5月、2025年度末までにライブサービスを12本出すと投資家に示していました。その2年あまり後、12本の1つと報じられたConcordが2週間で姿を消したことになります。

出さずにやめるのは、負けではない

中止と聞けば後ろ向きに見えます。ただ、ここまで並べた例は降りた時期がまるで違います。Concordは発売してから2週間で畳み、スタジオごと消えました。セガは作りきる前に手を引いていて、その損失額は今回の決算資料に出ていません。

一度中止になった作品が後から戻ることもありますが、そこには権利と資金の条件が要ります。それは『Scalebound』の復活論で書いたとおりです。

読者にとって意味があるのは、そのあとの人の動きのほうです。セガは基本無料タイトルの開発者100人超を、買い切り型の開発へ移したと説明しています。あわせて、過去のIPを新しく展開する「SEGA UNIVERSE」を発表しました。

つまり、セガから出てくるものの種類が変わります。世界同時に運営する新しい大型タイトルを待つ理由は、当面ありません。代わりに、眠っていたIPを掘り起こす側へ人手が寄っています。この読みが当たっているかは、SEGA UNIVERSEの名で何が発表されるかで分かります。

セガがハードから降りたときも、中身は他社の本体で続きました。今回も似た形だと、けん玉は見ています。降りたのは「巨大なライブサービスを自前で立ち上げる」という賭けであって、ゲームを作ることそのものではありません。

※ 内海州史氏の発言は一次情報を確認しきれていないため、誤りがあればお問い合わせからお知らせください。

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