『ウィッチャー4』は2028年の発売を目標にしていると、共同CEOが公表しています。500人を超える開発者が動いているとも話しています。ただ、この作品には遊ぶ前から気になっていた点があります。
ウィッチャー4のエンジン変更、理由はUE5のデモだった。共同CEOがサイバーパンクの不具合説を否定

CD Projekt RED が、自分たちで作ったエンジンを使っていないことです。
ウィッチャー3もサイバーパンクも、自前の道具だった
同社は長く REDengine という自社製エンジンを使ってきました。『ウィッチャー2』から『サイバーパンク2077』までがその範囲です。広い世界も、ナイトシティの夜の光も、自分たちで組んだ土台の上に載っていました。
その方針が変わったのが2022年3月21日でした。新しいウィッチャーサーガの発表と同時に、Epic Games と複数年の戦略的パートナーシップを結びました。新作は Unreal Engine 5 で開発すると公式に発表しています。
単なるライセンス契約ではありません。両社でエンジンそのものの技術開発に関わり、オープンワールド向けに手を入れます。将来のバージョンにも及ぶ内容です。
CTO の Paweł Zawodny 氏は、社内改革「RED 2.0」の中心は技術への注力だと説明しています。この協業で開発の見通しと効率を上げる、という話です。
決め手は『マトリックス』のデモだった
ここで多くの人が思い浮かべるのは『サイバーパンク2077』でしょう。2020年の発売時に技術的な問題が大きく取り上げられた作品です。あれで自社エンジンに見切りをつけた、と読むのは自然に見えます。
でも共同CEOの Michał Nowakowski 氏は、そこをはっきり否定しました。ポッドキャスト「Deconstructor of Fun」での発言です。
サイバーパンクで起きた問題は REDengine そのものの問題ではなかった、と語っています。多くの人が誤った前提を置いている、という言い方でした。
では、何が決め手だったのでしょうか。氏が挙げたのは、Epic が公開した UE5 のテックデモ『The Matrix Awakens』です。あれを見たことが最大の動機になった、と述べています。
もうひとつ、会社の向かう先の話もしています。技術を作ることは、もともとこの会社の夢ではなかったそうです。
CD Projekt RED は、Epic 以外では UE5 の内部に触れられる唯一の外部チームだと自任しています。エンジンを自前で背負わずに、ゲーム作りへ寄れます。そういう説明です。
カプコンは、逆の道を歩いている
同じころ、カプコンは反対の判断をしていました。2017年から自社製の RE ENGINE を主力に据え、そのまま育て続けています。
バイオハザードもモンスターハンターもストリートファイターも、土台は同じです。この9年の歩みはRE ENGINE の9年を公式資料で追った記事で整理しました。
どちらも「社内をひとつの土台に寄せる」点では同じです。違うのは、その土台を自分で作るか、外から借りるかです。Ubisoft の Anvil と Snowdrop、EA の Frostbite は自社で持ち続けています。
Larian も次回作に向けて独自エンジンを新しく作ると明言しました。逆に『トゥームレイダー』のクリスタル・ダイナミクスは、2022年に UE5 への移行を発表しています。
借りる側にも負担はあります。Epic の標準ライセンスでは、年間売上100万ドルを超えた分に5%のロイヤリティがかかります。1ドル150円で換算すれば、約1億5000万円が境目です。
ただし Epic Games Store 経由の売上は対象外で、同ストアで同時に出す場合は3.5%に下がります。自社ストアを持つ強みが、そのまま条件に出ている形です。
けん玉のひとこと
エンジンを乗り換えたと聞くと、つまずいた末の決断に思えます。でも発言を並べると逆なんですよね。作りたいのはゲームであって道具ではない、と言い切っているところ。ここまで線を引ける会社は、そう多くないはずです。
気になるのは、土台を外に預けたあとの自由度です。困ったときに自分で直せるのかどうか。Epic と一緒にエンジン本体へ手を入れられる立場を確保したのは、そこへの備えなんですよね。
借りるというより、共同で持つ形に近いところ。数千万本を狙う作品なら、あの5%は自社エンジンの開発費と並べて考える額になるはずです。
見極めどころは、両社で入れた手が公開版の UE5 にいつ出てくるかです。そこが見えれば、この形が本当だったか分かります。2028年の森を、楽しみに待ちたいところです。




