元ソニー・インタラクティブエンタテインメント(SIE)の吉田修平氏が出演しました。番組は The Verge のポッドキャスト「The Vergecast」です。ソニーと任天堂は、今の世代をできるだけ長く続けるべきだ、という内容でした。
吉田修平氏が語る「今の世代を長く」。Xboxだけが次世代へ動く理由と、PS6が遠い理由

PS6の発売日が社内でも決まっていないことは、PS6の発売日は「社内でも未定」で書きました。今回の発言は、その沈黙の中身を外側から説明したものとして読めます。
理由の先頭に置かれたのは「性能はもう足りている」
吉田氏の言い分はこうです。PS5とSwitch 2で遊んでいる人は、今の機種に満足している。プレイヤーも開発者も、これ以上の性能を求めてはいない。だから急いで世代を変える必要はない。
もうひとつ挙げたのが、部材コストの上昇でした。自分も5年前に買ったゲーミングPCを買い替えようとして、値段の高さで見送ったと話しています。
吉田氏は2008年5月にSIEのワールドワイド・スタジオ プレジデントに就きました。2019年11月からはインディーズ イニシアチブの代表を務め、退社は2025年1月です。
ですから今回の発言はSIEの見解ではなく、会社を離れた人の私見です。それでも、内側を長く見てきた人が外から言うぶん、社員のままでは出せない言い方になっています。
Xboxだけが先へ動いている
3社の足並みは、今きれいに割れています。
Microsoftは2026年3月11日、GDCに合わせて「Project Helix」の名前を明かしました。
詳しい中身はXbox公式ブログに書かれています。AMDのカスタムSoC、次世代のDirectX、FSRの共同開発が柱です。開発者向けのアルファ機は2027年から配る予定だとしています(Xbox Wire の告知)。
ただし消費者向けの発売日も価格も、まだ何も出ていません。名前と技術の方向が先に出ただけで、次世代Xboxが目前という話ではないわけです。
対するソニーは、十時裕樹CEOが5月も8月も「決まったものはない」と繰り返しました。任天堂はSwitch 2を2025年6月5日に出したばかりで、次を語る段階にありません。
吉田氏はXboxの動きを、彼ら自身が決めることだと受け止めていました。突き放したというより、置かれた状況が3社で違う、という意味に近いはずです。
部材がいちばん高い年に、世代は変わらない
今回の発言でいちばん重いのは、部材コストのほうだと思います。
2025年末から2026年にかけて、DRAMの価格が跳ね上がりました。生成AI向けのデータセンターがHBMを飲み込み、PCやスマートフォン、ゲーム機に回る分が足りなくなったためです。
ゲーム機はメモリの塊です。新しい世代は、たいてい前の世代より多くのメモリを積んで出ます。その部品がいちばん高い時期に新機種を出せば、赤字を抱えるか、値札を上げるしかありません。
ソニーは2026年4月2日に国内価格を改定しました。PS5は97,980円、デジタル・エディションは89,980円です。PS5 Proは137,980円になりました。今の機種でここまで来ている以上、次を安く出せる道は見えていません。
部材が上がった分だけ価格に乗るのは、仕方のない話だとは思います。その代わりに、今の世代が長く続くなら、買った本体を長く使えます。買い時の整理はPS5 Proは今買うべきかに書きました。
前例もあります。ソニーは2020年9月までにPS4の大半のモデルの出荷を終えました。ですがPS5が足りなかった2022年、PS4の生産を再開し約100万台を追加で作る方針を示しました。
作れない時期は古いほうを延ばす。メーカーはすでに一度、それをやっているわけです。
世代の間隔は、もう伸び切っている
PSの発売年を並べると、間隔が伸び続けているのが分かります。初代が1994年12月、PS2が2000年3月、PS3が2006年11月でした。PS4は2014年2月、PS5は2020年11月です。
前の機種からの間隔は、5年3か月、6年8か月、7年3か月、6年9か月と続いています。5年で次が出た時代は、初代からPS2までの一度きりです。
PS5は発売から5年が過ぎ、2026年6月30日時点で9,530万台。まだ伸びている最中です。Switch 2も2026年3月期の通期で1,986万台を売りました。
どちらも、今すぐ畳む理由がありません。吉田氏の見立ては、この数字の上ではごく素直な読み方です。
けん玉のひとこと
腑に落ちたのは、吉田さんが理由の先頭に部材の値段ではなく、性能の頭打ちを置いたところ。メモリの値段は景気で戻りますが、「もう十分きれい」という感覚のほうは戻らないんですよね。
PS3からPS4への乗り換えには、絵がはっきり変わるという分かりやすい理由がありました。いまPS5の画面を見て、物足りないと感じる人がどれだけいるでしょうか。次の世代が売り文句に困る、という話でもあるはずです。
とはいえ、これは買う側にとって悪い話ではないと思っています。10万円近い本体を長く使えるなら、それだけ元が取れるはずです。大作の値段が上がった一方で、手ごろなインディーも頻繁なセールも増えました。遊ぶ先に困ることはありません。
次の機種を待って手を止めるより、今の1台で遊びたいものを拾っていくほうが楽しいはずです。
※ 吉田氏の発言の正確な文言と配信日は一次情報を確認しきれていないため、誤りがあればお問い合わせからお知らせください。




