薄くて電池が持つノートで、大作ゲームも動く。NVIDIAのRTX Spark搭載機は、そんな触れ込みで10月16日に発売されました。ゲーム用の1台として気になっている人も多いと思います。
RTX Spark搭載PCはゲーム目的で買うべきか。VALORANTの対応、価格、ゲーミングノートとの差

ただ、中身はこれまでのゲーミングノートとは別物です。先に結論を書くと、ゲームが主な目的なら、今は専用GPUを積んだゲーミングノートのほうが確実です。
理由は、遊べるソフト・価格・速さの3点にあります。順に確かめていきます。価格は10月19日時点の公表値と報道をもとにしています。
RTX Sparkは何が違うのか
RTX Sparkは、NVIDIAがノートPC向けに作ったチップです。Blackwell世代のRTX GPUと、NVIDIA Grace CPUを1つにまとめています。GPUはCUDAコアが最大6,144基、CPUは最大20コアです。
大きな違いは、CPUがArmであることです。OSはArm版のWindows 11になります。IntelやAMDのCPU(x86)向けのゲームは、Microsoftの変換機能「Prism」を通して動きます。
確かめる1: 遊ぶ作品は対応済みか。VALORANTやCall of Dutyはまだ
最初に見るべきは、遊びたい作品が対応しているかです。NVIDIAは「発売日から数百の人気タイトルが遊べる」としています。ただし正確な本数は示しておらず、これはメーカー自身の主張です。
つまずきやすいのは、不正対策(アンチチート)を組み込んだオンライン対戦ゲームです。アンチチートは、ゲーム本体とは別にArm版Windowsへの対応が要ります。
NVIDIAは各社と組んで、Easy Anti-CheatやBattlEye、Vanguardなどの対応を進めています。その発表をもとに、アンチチートのある主な作品を3つに分けました。
| 区分 | 主な作品 |
|---|---|
| NVIDIAが発売日対応とする | フォートナイト、Counter-Strike 2、Dota 2、Marvel Rivals、ARC Raiders、Rocket League、RUST、THE FINALS、鳴潮、War Thunder |
| 2027年に対応予定 | Call of Duty、PUBG: BATTLEGROUNDS(上半期が目標)、Arena Breakout: Infinite |
| 時期未定 | VALORANT、League of Legends |
この2作について、NVIDIAは「Riotが対応を楽しみにしている」と書くだけです。時期は示されていません。VALORANTを毎日遊んでいるなら、今は候補から外したほうが確実です。
EAの作品が使うアンチチート「EA Javelin」も、対応は2027年初めの予定です。これとは別に、Apex LegendsはNVIDIAの対応タイトルの中に名前がありませんでした。
遊ぶ作品が決まっているなら、その作品の公式の告知で対応を確かめてから買うのが安全です。
確かめる2: 日本での価格はいくらか
日本で10月16日に販売が始まったのは、MicrosoftのSurface Laptop Ultraです。いちばん下の構成(メモリ24GB・SSD 512GB)で51万3,480円と報じられています。
この構成のCPUは18コア、GPUは5,120コアです。Surface Laptop Ultraでは、最大6,144コアのGPUは上位の構成に限られます。メモリ32GB・SSD 1TBの構成で70万7,080円からです。
ASUSのProArt P14とP16も日本で発売されます。メモリ128GBの構成が10月23日、48GBの構成が11月中旬の予定です。48GBの価格はP14が94万9,800円、P16が99万9,800円と報じられています。
Dell、HP、Lenovo、MSIの搭載機は、日本での価格を確認できていません。PC全体が値上がりしている2026年の事情は、ゲーミングPCはメモリ高騰の今組むべきかにまとめています。
比べる相手として、RTX 5070 Laptop GPUを積んだゲーミングノートも見ておきます。マウスコンピューターのG TUNE P5-I7G70RD-Cは、メモリ32GB・SSD 1TBの構成です。
この機種は9月16日からのセールで、9万円引きの32万9,800円(税込)だったとファミ通が伝えています。値引き前なら41万9,800円です。今の価格は、公式ストアで確かめてください。
値引き前の価格で比べても、Surfaceの最安構成とは9万円あまりの差があります。しかもG TUNEのほうがメモリもSSDも大きい構成です。
確かめる3: 専用GPUのゲーミングノートとどこが違うか
性能の比較は、第三者の実測がまだ出そろっていません。その中で、ドイツのPC Games HardwareがASUS ProArt P16の測定結果を伝えています。
比べた相手は、RTX 5070 Laptop GPU(100W)を積むFramework 16です。1機種ずつ、3本だけの測定なので、傾向を見るものとして読んでください。
| 項目 | ProArt P16(RTX Spark) | Framework 16(RTX 5070 Laptop) |
|---|---|---|
| Cyberpunk 2077(1080p・レイトレーシング Ultra) | 平均36fps | 平均43fps |
| Baldur’s Gate 3(両機で同じ画質設定) | 平均42fps | 平均69fps |
| ゲーム中の電池持ち(PCMark 10) | 86分 | 131分 |
Black Myth: Wukongでは、ほぼ同じ結果でした。一方でBaldur’s Gate 3では、専用GPUの側が6割あまり速く出ています。同誌は差の理由を、x86向けのゲームを変換して動かすぶんCPUの負担が増えるためとみています。
見落としやすいのは電池です。NVIDIAは「一日中持つ電池」を掲げています。ただ、ゲームを動かしたときはProArt P16が86分、Framework 16が131分でした。外で長く遊ぶ1台として期待すると、当てが外れます。
逆に、DLSSのフレーム生成に対応した作品では、手応えのある数字も出ています。マレーシアのLowyat.NETは、Control Resonantが平均120fpsで動いたと伝えました。
設定はProArt P16の画面そのままの2,880×1,800で、画質はHigh、レイトレーシングはMediumです。ただしフレーム生成を6倍にしており、実際に描いている枚数は表示の約6分の1。操作の反応は、表示の数字ほど軽くはなりません。
DLSS 5は、発売日のNBA 2K27から使えます。Hogwarts Legacyは11月5日に対応する予定です。DLSS 5が他のGeForceに広がる話は、RTX 40への対応を説明した記事にまとめています。
結局、ゲーム目的で買うべきか
ゲームを主な目的にするなら、2026年10月の時点では専用GPUのゲーミングノートを選ぶほうが確実です。遊べるソフトの幅が広く、比べた機種では値引き前でも9万円あまり安くなります。
PC Games Hardwareの3本の測定でも、専用GPUのゲーミングノートのほうが同じかそれ以上に速い結果でした。
RTX Sparkが向くのは、薄くて軽い仕事用のノートがまず欲しく、そこでゲームもそこそこ遊びたい人です。遊ぶ作品が発売日対応の一覧に入っていて、DLSSにも対応しているなら、満足できる場面は多いはず。
個人的に注目しているのは、アンチチートのところ。ゲームが動くことと、オンラインで遊べることは別で、この差が埋まるかどうかがArmのノートの分かれ目なんですよね。
Call of Dutyが対応する2027年には、選び方の答えが変わっているかもしれません。
迷っている人の分かれ目は、いちばん長く遊んでいるオンライン対戦ゲームが、発売日対応の一覧にあるかどうか。なければ、その作品の対応の告知を待ってからでも遅くありません。
※ Dell・HP・Lenovo・MSI搭載機の日本での価格は一次情報を確認しきれていないため、誤りがあればお問い合わせからお知らせください。
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