1994年5月27日、PCエンジンから始まった

初代『ときめきメモリアル』が発売されたのは1994年5月27日です。機種はPCエンジンの SUPER CD-ROM²、開発はコナミとSRD、発売はコナミでした。

コナミの公式サイトは、この作品を「PCエンジン向け恋愛シミュレーションゲーム」と記しています。32年たった今も、この呼び名はそのまま通じます。当時は耳慣れなかった言葉が、そのまま棚の分類名として残りました。

周年で言えば、節目はもう一巡しています。コナミは2024年5月27日から2025年5月27日までを30周年のメモリアルイヤーとして展開しました。2024年5月にはTOKYO MXが主催する記念ライブも配信されています。

項目 内容
タイトル ときめきメモリアル
発売日 1994年5月27日
機種 PCエンジン SUPER CD-ROM²
開発 コナミ、SRD
発売 コナミ
ジャンル 恋愛シミュレーションゲーム

主役は女の子ではなく、3年間の自分

公式サイトの説明はこうです。私立きらめき高校に入学したプレイヤーが、高校生活の3年間で学業と部活を磨きます。そのなかで色々な女の子と出会い、恋が芽生えていく作りです。

土台にあるのは学校の言い伝えです。卒業式の日に校庭の隅に立つ古い樹の下で、女の子のほうから告白して結ばれた二人は、ずっと幸せでいられるのだそうです。この言い伝えが、3年間の目的地になります。

目指すのは、その樹の下で藤崎詩織から告白されることです。公式サイトは彼女を「頭脳明晰でスポーツ万能のきらめき高校のみんなのあこがれの的」と紹介しています。

つまり、口説く相手を選ぶゲームというより、3年かけて自分を仕上げるゲームです。学業と部活を積み上げた結果として、相手から声がかかります。この順番があるから、恋愛を主題にしながらシミュレーションを名乗れたのだと思います。

公式サイトは初代に「伝説はここから始まった…」というタグラインを添えています。32年後から見ると、これは作中の伝説とジャンルの始まりの両方を指す言葉になりました。

移植が途切れなかった32年

この作品が何だったのかを知るには、移植の一覧を眺めるのがいちばん早いと思います。1機種で終わらず、新しい機種が出るたびに版が作られてきました。

機種 発売 備考
PCエンジン SUPER CD-ROM² 1994年5月27日 初代
プレイステーション 1995年10月13日 『~forever with you~』
スーパーファミコン 1996年 ―
セガサターン 1996年 ―
Windows 95 1997年 ―
ゲームボーイ 1999年 ―
PSP 2006年 ―
PS3・PSP(ゲームアーカイブス) 2009年 ダウンロード配信
PCエンジン mini 2020年3月19日 日本版の本体に収録
Nintendo Switch 2025年5月8日 『~forever with you~ エモーショナル』

発売日と機種はコナミの公式サイトの記載によります。月日まで公式に載っているのは初代とプレイステーション版、それに近年の2本だけなので、残りは年だけを書きました。

1995年のプレイステーション版には『~forever with you~』という副題が付いています。2025年のSwitch版は、この系統に連なるものです。

並べてみると、据置機・携帯機・パソコン・復刻ミニ機と、行ける場所にはひと通り行っている形です。2009年のゲームアーカイブスから2020年のPCエンジン miniまでは11年空いています。それ以外は数年おきに版が作られてきました。

各版の販売本数は公表されていません。ただ、これだけ版が重なる以上、そのたびに買う人がいたと見るのが自然です。

同じ1994年に、もうひとつの流れが生まれた

恋愛を主題にしたゲームの源流をたどると、1994年にはもう1本の重要な作品があります。光栄(現コーエーテクモゲームス)の『アンジェリーク』です。スーパーファミコンで1994年9月23日に発売されました。

つまり『ときめきメモリアル』の約4か月後です。『アンジェリーク』は女性が主人公の恋愛ゲームの先駆けとされます。のちのネオロマンス系、さらに今の乙女ゲーム市場へつながっていきました。

両者は狙う読者が違うので、競合というより別々の川の源流にあたります。それが同じ年に、半年と空けず世に出ています。

初代を遊ぶ道は2つ、現行機で触れる道が1つ

1994年のPCエンジン版そのものを遊ぶ道は、いま2つしかありません。ひとつはPCエンジン miniです。2020年3月19日に発売された復刻ミニ機で、日本版の収録タイトルに初代が入っています。

もうひとつはゲームアーカイブスです。2009年からPS3とPSPで配信され、のちにPS Vitaにも対応しました。ただし、これには期限があります。

ソニーはPS3とPS Vita向けのPlayStation Storeを終了します。告知はPlayStation.Blogに出ています。終了は地域ごとに段階を踏み、日本を含む残りの地域は2027年7月です。終了後は新規に買えなくなります。

対応する実機を持っている人が初代を買っておけるのは、残り1年弱ということです。PS3やPSP、PS Vitaの現状はPSPで今から遊ぶならでも整理しています。

現行機で触れる道もあります。Switch版『ときめきメモリアル ~forever with you~ エモーショナル』が2025年5月8日に出ています。価格や収録内容はコナミの発表ページにあります。

価格は通常版が6,600円、デラックス版が9,680円(いずれも税込)です。ただしこれは1995年のプレイステーション版を土台にしたもので、1994年のPCエンジン版そのものではありません。

手軽さでは断然こちらです。ただ「初代を遊んだ」と言いたいなら、別の話になります。

なお1996年のセガサターン版とスーパーファミコン版は、現行機に降りてきていません。サターンのソフトを実機で追う場合の事情はセガサターンを今遊ぶ方法にまとめました。

けん玉のひとこと

周年の祭りが一巡したあとに何が残ったか。私はそっちのほうが大事だと思うんですよね。残ったのはSwitch版という現行機の受け皿です。周年に合わせて出して、そのまま棚に置き続けています。

周年は終わっても、棚は残ります。これはけっこう誠実な残し方だと思います。

気がかりなのはゲームアーカイブスのほうで、2027年7月という線が引かれてしまったところ。PCエンジン版の直系が正規に買える場所は、そこが閉じると復刻ミニ機だけになります。初代そのものを現行機で出し直す機会は、まだ残っているはず。

男性向けと女性向けの入り口が同じ年に4か月差で開いた、というのも面白いところ。いま恋愛ゲームの棚が二列に分かれているのを見ると、あの1994年から地続きなんだなと感じます。

1994年に出た1本が、10機種を渡り歩いて32年後も新品で買えます。この事実だけで、あの年に何かが始まったことは十分に伝わるはず。32年目に名前を知った人も、入り口はSwitch版で構わないと思います。

※ 初代とシリーズの販売本数は一次情報を確認しきれていないため、誤りがあればお問い合わせからお知らせください。