1997年4月に発表され、2011年6月にようやく発売されたFPSがあります。『Duke Nukem Forever』です。発表から発売までは約14年。その間に開発チームは解散し、作品は別の会社の手で完成しました。
【連載 第1回】Duke Nukem Forever、発表から14年かかったFPSの終着点と49点の中身

作品の概要
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 作品名 | Duke Nukem Forever |
| 発売日 | 2011年6月14日(北米)、2012年3月29日(日本) |
| 機種 | Windows、PS3、Xbox 360、Mac(日本はPS3とXbox 360) |
| 開発 | Gearbox Software(3D Realms、Triptych Games、Piranha Games も関与) |
| 発売 | 2K Games(Take-Two 傘下。日本は Take-Two Interactive Japan) |
| ジャンル | FPS |
| 前作 | Duke Nukem 3D(1996年) |
主人公デュークが、地球に攻めてきたエイリアンを銃で片づけていく一人称シューティングです。前作の『Duke Nukem 3D』は約350万本を売り、3D Realms の代表作になりました。
Forever は、その成功を受けた続編として始まっています。開発の最終段階には、Gearbox や Triptych Games とともに Piranha Games も加わりました。
1998年、エンジンを替えて作り直す
1997年4月、3D Realms の George Broussard が続編を発表しました。目標は1998年のクリスマスです。土台は id Software の Quake II エンジンで、1998年5月の E3 で映像を見せています。
ところが翌月、Epic の Unreal Engine へ乗り換えました。Broussard は移行に1か月から6週間と見込んでいました。実際には、それまで作ったレベルの約95%を捨てることになったと本人が見積もっています。
1999年には、さらに新しい Unreal 系のエンジンへ移りました。2001年の E3 ではトレーラーを出し、好評を得ています。発表から4年たっても、まだ期待を集めていた時期です。
自己資金の開発が、2009年に止まる
開発費は、Broussard と Scott Miller が前作などで得た利益から出していました。自分たちで出した額は約2,000万ドルにのぼります。発売元の資金に頼らず、自分たちの判断で作り続けられる体制でした。
人数は多くありません。2003年のフルタイムのスタッフは18人です。2006年8月にはその約半数が去り、2007年に約35人まで増やし直しています。
2009年5月、資金が尽きました。2人は発売元の Take-Two に完成までの資金を求めましたが、折り合いがつきません。3D Realms は開発チームを全員解雇しました。
一部の元スタッフは自宅で開発を続け、のちに Triptych Games となります。その後、Take-Two は 3D Realms を訴え、3D Realms も反訴しています。2010年に和解が成立しましたが、条件は公表されていません。
Gearbox が引き取り、2011年に出た
2010年9月の PAX で、Gearbox が Duke Nukem の権利取得を発表しました。登壇した Randy Pitchford は2011年の発売を宣言しています。会場では約15分の遊べるデモも公開されました。
Gearbox の作業は2009年に始まっていたと、Pitchford は語っています。2011年5月24日にマスターアップを迎え、6月14日に北米で発売されました。発表から数えて約14年で、開発期間の長さはギネス記録にもなっています。
最後に仕上げたのは、14年の大半を作ってきたチームではありません。中止作が戻ってくる条件はScalebound の記事で考えました。Forever は、権利の持ち主が変わって完成した例です。
49点の中身
Metacritic の点数は、Xbox 360 版が49(76件)です。PS3 版は51、PC 版は54でした(2026年10月9日時点、PS3 版と PC 版は各48件)。よく引かれる「49点」は Xbox 360 版の数字です。
とはいえ、どの機種も50点前後に固まっています。GameSpy は「急いで出されたように感じる」と書きました。Game Revolution の評言は「あらゆる面で古い」です。14年かかった作品が、急ぎ足で古いと評されたことになります。
何が減点されたのかを、Xbox 360 版に10点満点で6.75点を付けた Game Informer のレビューで見ます。平均より高い側の評価ですが、理由が具体的に書かれています。
まず挙げているのは読み込みの長さで、死んだときやエリアを移るたびに30秒から1分ほど待たされるといいます。武器を2つまでしか持てない点も、昔のデュークらしさより当時の流行のFPSに寄ったと受け止めています。
中盤については、謎解き、乗り物の場面、平凡なステージの作りが続き、勢いが落ちると書いています。水中の場面や、バルブを回すだけの水増しの謎解きにも不満を述べています。
一方で、撃ち合いの手ごたえや、後半から持ち直すステージの見せ場は評価しています。冒頭の下品な笑いは好きな人の期待どおりとしつつ、その調子が最後まで続くわけではないとも書いています。
原文は Game Informer のレビュー(英語)で読めます。
商売としては失敗していません。発売月の米国での販売は37万6,300本でした(NPD 調べ、ダウンロード販売を除く)。Take-Two の Zelnick CEO は2011年8月の決算説明で、評価は期待外れだが利益は出たと述べました。
なぜ長引いたのか、当事者の言い分は割れている
長期化の理由は、当事者のあいだでも一致していません。2022年に Miller は、人員不足、はっきりした計画の欠如、最新の3D技術への乗り換えの多さを挙げました。これに対し Broussard は反論しています。
確かに言えるのは2点です。最初のエンジンの乗り換えで作りかけの大半を捨てたこと(Broussard 本人の見積もり)と、最後は別の会社が仕上げたことです。どこに一番の原因があったかは、2人の言い分が割れたままです。
いま遊ぶ方法
PC なら、Steam のストアページで今も買えます。Windows と Mac に対応し、価格は1,980円です(2026年10月9日時点)。
Steam 版の対応言語は英語・フランス語・ドイツ語・イタリア語・スペイン語で、日本語はありません。
日本語で遊ぶなら、2012年3月29日に出た PS3 と Xbox 360 の日本版です。全セリフが日本語吹き替えで、デュークの声は立木文彦さんが担当しました。CERO Z で、当時の価格は5,980円です。
日本版では一部の表現が変えられています。ディスク版は中古で探すことになります。Xbox 360 版は、2018年12月に Xbox One の後方互換に加わりました。
前作から触れたい人には、2016年の『Duke Nukem 3D: 20th Anniversary World Tour』があります。Steam では1,980円で、Switch 向けも2020年に出ています。
けん玉のひとこと
49点の理由は、読み込みの長さや中盤の失速といった具体的な減点で、期待の高さだけでは説明がつきません。「古い」と書かれたのは、14年のあいだに FPS のほうが先へ進んだからでもあるんですよね。
待った時間は作品の中身に足されるわけではなく、期待のほうだけが膨らんでいく。そこがこの作品のいちばん苦いところ。
それでも、チームが解散した時点で終わっていてもおかしくなかった作品です。Gearbox が引き取って世に出したから、こうして評価を語れます。届けてくれたこと自体には、敬意を払いたいところです。
英語で構わないなら Steam の1,980円、吹き替えで遊びたいなら中古の日本版。14年の終着点を自分の手で確かめてみたい人は、このどちらかから入ってみてください。
※ Broussard 側の反論の中身と前作の販売本数は一次情報を確認しきれていないため、誤りがあればお問い合わせからお知らせください。
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