グラスホッパー・マニファクチュアが、2026年10月1日付でNetEase Gamesの傘下を離れました。須田剛一さんが社長を務める開発会社で、『シルバー事件』『killer7』『ノーモア★ヒーローズ』を作ってきたところです。
グラスホッパー・マニファクチュアがNetEaseから独立、二度の傘下入りで手放さなかったもの

国内の各メディアは独立の事実を横並びで伝えています。ただ、この会社が28年のあいだに資本の形を何度変えてきたかまで並べると、今回の発表はだいぶ違って見えてきます。
設立から28年、ふたたびの独立
設立は1998年3月。須田さんがヒューマンを離れて立てた会社で、第1作は1999年のプレイステーション用ソフト『シルバー事件』でした。
2005年の『killer7』はカプコンが販売しました。2007年の『ノーモア★ヒーローズ』はマーベラスエンターテイメントです。パブリッシャーを渡り歩きながら、作風だけは動かさない形で来ました。
2013年2月、ガンホー・オンライン・エンターテイメントが全株式を取得します。その株式は2021年5月31日にNetEase Gamesへ譲渡され、今回ふたたび独立したことになります。独立していた15年、傘下にいた13年です。
傘下入りは、どちらも自分から申し出ていた
見落とされやすいのはここです。ガンホーが2021年10月に出した開示資料には、譲渡の経緯が書かれています。グラスホッパー側から「今後の事業展開を踏まえ、NetEase傘下に入りたいとの申し出があった」という内容です。
2021年の移籍は、親会社の都合で売られた話ではありません。開発会社の側が自分で行き先を選び、ガンホーがそれに応じた結果でした。
傘下入りを発表したときのグラスホッパーのリリースも、条件をはっきり書いています。ゲームの企画・制作は自分たちが独自性を持って行う、と。須田さんは今後10年で3本の新作を届けると語っていました。
ガンホー期には、両社の共同開発作『LET IT DIE』をガンホーが世界へ配信しています。資本は受け入れても、作るものの中身は譲っていません。この形を二度続けてきた会社です。
閉鎖でも売却でもなく、独立だった
NetEaseは2024年ごろから、海外スタジオへの出資を絞り込んでいます。Worlds Untoldは設立から1年で閉鎖しました。Jar of Sparksとは2025年1月に関係を解消しています。
Bad Brain Game Studiosも閉鎖が伝えられました。2025年2月には、海外スタジオの大半を売却・閉鎖する方向で検討しているとの報道も出ています。
匿名の関係者の話を元にした報道で、グラスホッパーも対象として名前が挙がっていました。その1年8カ月後に出てきたのは、閉鎖でも売却でもなく「独立」でした。
発表文では、NetEaseとの十分な協議を経て理解と協力を得たと説明しています。今後も機会があれば互いに協力するとも書かれていて、円満な離脱に見えます。
タイミングも効いています。自社で開発・販売した『ROMEO IS A DEAD MAN』は2026年2月に発売されました。Steamのユーザーレビューは「非常に好評」で、10月1日時点で約2,070件の87%が好意的です。
須田さんは、セルフパブリッシングのノウハウが上がったことで選べる幅が広がったと話しています。1本を自社で出し切ったのちの決断でした。
取り戻すのは、出し方の自由
企画の独自性は、二度の傘下でも手放していませんでした。だから今回の独立で変わるのは、作る中身よりも「どう世に出すか」の部分です。
誰に配信を任せるか、どの規模で作るか、何本を並行させるか。自分で決められる代わりに、外れたときの穴も自分でふさぐことになります。
資本が後ろにいる怖さと、いない怖さは別物です。ソニーが出資を止めた『PHYSINT』の経緯は『PHYSINT』からソニーが降りた理由で整理しました。
逆に、巨額の出資を集めたBuild A Rocket Boy の管財手続きは、1本で傾く危うさを見せたばかりです。
独立したグラスホッパーは、この両方から少し距離を取った位置に立ちます。尖った作品を自社で売り切る道が楽なわけはありません。それでも、売り先を探さずに企画を通せる会社がもう一社増えたのは確かです。
けん玉のひとこと
資本の形が二度変わっても、出てくる作品はぶれませんでした。ガンホー期にもNetEase期にも、ちゃんと人を選ぶ作品が出ています。28年で一度もそこを濁さなかったのは、素直にすごいところ。
ただ、独立は身軽さと引き換えに重さも抱えます。パブリッシャーが付けば宣伝も各国語の対応も相手が引き受けてくれるので、それを自分でやるのは別の負荷なんですよね。
『ROMEO IS A DEAD MAN』の自社販売で手応えをつかんだからこそ踏み切れたはず。
二度も資本を変えて、そのたびに「企画は自分たちで」と言い続け、しかも言ったとおりに通してきた会社です。次の1本が何になるのか、一緒に待ちたいところです。
※ 独立の公式発表文は一次情報を確認しきれていないため、誤りがあればお問い合わせからお知らせください。
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