2010年のPS Plusは、遊び放題ではなかった

PlayStation Plusが発表されたのは、2010年6月16日のソニーのE3カンファレンスです。開始は同月29日でした。

当時の公式ブログが挙げた特典は、無料ゲームとDLC、PS Storeの割引、ベータへの早期招待。購入前に最大1時間遊べる試遊や、デモとパッチの自動ダウンロードも入っていました。

この一覧に「オンライン対戦」はありません。PS3の時代は対戦そのものが無料で、加入する理由は割引と先取りでした。年額は米国で49.99ドルです。

数百本のカタログを月額で遊ぶという今の形は、2年あとに足されました。2012年のE3で始まった「インスタントゲームコレクション」がそれにあたります。

公式ブログは翌年、「PS Plusは3年存在していたが、独自のサービスだと認識したのはE3 2012だった」と振り返っています。遊び放題は出発点ではなく、途中で見つかった軸でした。

オンライン対戦が有料会員の条件になったのは、さらに翌年です。2013年6月、PS4ではマルチプレイにPS Plusが必要になると発表されました。吉田修平氏は、無料で提供し続けるのは無理があると説明しています。

2017年のGame Passは、最初から遊び放題だった

Xbox Game Passの発表は2017年5月24日、開始は6月1日です。月額9.99ドルで100本以上をダウンロードして遊べる、という内容でした。

対象はXbox Oneのタイトルと、後方互換で動くXbox 360のタイトル。ストリーミングではなく、本体に落として通常の品質で遊ぶ形です。

PS Plusが2年かけてたどり着いた「カタログを月額で」を、Game Passは初日から看板にしていました。開始時期の7年差だけでなく、立ち上げの重心そのものが違っています。

ただ、マイクロソフトも配布型をやっていなかったわけではありません。2013年に始まったGames with Goldは、Xbox 360向けの毎月2本の無料配布です。作りは2010年のPS Plusに近く、こちらは2023年まで別枠で続きました。

分かれ目は2018年1月だった

Game Passが今の位置に立ったのは、開始から半年あとの発表でした。2018年1月23日、フィル・スペンサー氏がXbox Wireの告知で方針を示しています。

自社スタジオのXbox One独占新作を、世界発売と同日にGame Passへ入れるという方針です。第1弾は2018年3月発売の『Sea of Thieves』で、『State of Decay 2』『Crackdown 3』も続きました。

ソニーはこれをやらないと決めています。2022年3月、当時のPlayStation CEOのジム・ライアン氏が明言しました。

自社新作を発売日からPS Plusへ入れたことはなく、今後もやらないという内容です。理由は、投資の好循環が崩れるからだと説明しています。

PS Plusの刷新は、その直後でした。日本では2022年6月2日に3段階へ分かれ、Extraで数百本のPS4・PS5作品、Premiumでさらに最大240本が加わります。

Premiumの中身は旧作寄りです。PS1・PS2・PSPのクラシック作品はクラウドとダウンロードの両方で、PS3作品はクラウド経由で遊べます。PS3を今から触る手段はPS3発売20年の記事で整理しました。

けん玉の見方

出発点の違いは、今の使い勝手にそのまま出ているなと思います。Game Passは新作の入り口で、PS Plusは積み残しを片づける場所。どちらが上という話ではなく、育った筋が違うだけなんですよね。

面白いのは、両社がどちらも月に数本の配布を経ている点。そこから遊び放題へ振り切ったのがマイクロソフトで、対戦の権利と旧作の蓄積を軸にしたのがソニーです。

2017年の時点で後方互換のXbox 360作品を並べられたことが、Game Passの踏み台になったはずです。

ライアン氏の言い分も分かるところ。制作費が膨らんだ大作を発売日に月額へ入れれば、次の作品の原資は細ります。一方で、月額で触って気に入り、買い直す人もいるわけで、どちらが正解かはまだ決まっていません。

マイクロソフトが台数の代わりに加入者数を前へ出すようになった経緯は、Xboxの販売台数が非公表になった話で追いました。公表された会員数は2024年2月の3,400万が最後で、以降は更新していないと報じられています。

迷っている方は、遊びたいのが新作かどうかで決めるといいと思います。新作を広く試したいならGame Pass、手元のハードで過去作を掘るならPS Plus。16年前と9年前の始まり方の差が、まだ選び方に効いています。

※ Game Passの最新の会員数は一次情報を確認しきれていないため、誤りがあればお問い合わせからお知らせください。