ゲーム探訪連載「メーカー探訪 カプコン編 ヒットの法則を探る」

【連載 第1回】魔界村 1985年、理不尽な難しさでカプコンの名を広めた高難度アクション

魔界村 1985年、理不尽な難しさでカプコンの名を広めた高難度アクション

カプコンの名を広く知らせた作品は、遊びやすさではなく難しさでした。1985年9月にアーケードで稼働した『魔界村』は、鎧の騎士アーサーがさらわれた恋人を追う横スクロールアクションです。

遊んだ人の記憶に残っているのは、たいてい最初の墓場で終わったことだと思います。主人公は敵の攻撃を受けると鎧が脱げ、下着姿になります。その状態でもう一度当たれば、それで終わりです。

以後カプコンが何度も作り直してきた「腕で応える」手ざわりは、ここから始まっています。

作品の概要

項目 内容
タイトル 魔界村(Ghosts ’n Goblins)
稼働 1985年9月(アーケード)
ジャンル 横スクロールアクション
開発・発売 カプコン
ゲームデザイン 藤原得郎
音楽・効果音 森安也子
構成 全7面(1周クリア後に2周目を要求)
ファミコン版 1986年6月発売/164万本

ファミコン版の164万本は、カプコンが公表しているミリオンセールスタイトルの一覧に載っている数字です。アーケード版の稼働台数は公表されていません。

鎧が脱げたら、あと一度で終わり

武器は槍から始まり、短剣・たいまつ・斧・十字架の5種類を拾えます。ただし拾えば強くなる、という作りではありません。斧は山なりに飛び、たいまつは足元で燃え広がります。

つまり、拾った武器に合わせて戦い方を組み替えることになります。持ち替えを選べないので、拾う位置まで含めて覚える遊びです。

鎧が脱げてからの一撃は、猶予をひとつ残す仕組みでもあります。下着姿になった瞬間に、残りが一度だと画面で分かります。理不尽に見えて、自分の状況は必ず目で読めるようになっています。

敵の配置も、慣れるまでは理不尽に見えます。動く足場から落ちれば一度で死に、マジシャンの呪文はアーサーをカエルに変えてしまいます。制限時間も背中を押してきます。

そして全7面を抜けても、ゲームは終わりません。本当の結末を見るには、難しくなった2周目をもう一度抜ける必要があります。

難しさで名前が広まった1985年のカプコン

カプコンは1983年に設立された、当時まだ新しい会社でした。『1942』や『ソンソン』でアーケードに作品を出し、1985年には『戦場の狼』と『魔界村』が続きます。

その中でも『魔界村』は、会社の名前を一気に広めた1本になりました。翌1986年6月に出たファミコン版は164万本に届いています。アーケードに通う客層を超えて、家の中まで運ばれた数字です。

当時のアーケードは、1プレイごとに料金が入る場所でした。すぐ終わる作りでは客が離れ、簡単すぎれば1台の回転が落ちます。難しさは意地悪ではなく、店に置いてもらうための条件でもありました。

海外でも「難しいゲーム」の代表として、今も名前が挙がり続けています。難易度そのものを売りにした作品の先駆けとして語られることも多い1本です。

理不尽さが手ざわりに変わるところ

この難しさは、当たり判定のいじわるさだけで出来ているわけではありません。敵の出る位置と数は決まっていて、覚えれば同じように動けます。

だから、失敗の理由が毎回自分の側に残ります。腕が上がったぶんだけ先へ進めるので、墓場で終わっていた人が先の水辺まで行けるようになります。

同じ場所で何度も死ぬので、道順が自然と体に入ります。次の1プレイは、前のプレイの続きとして始まります。上手くなった記憶が残るのが、この作りの強みです。

この「腕で応える」作りは、のちのカプコン作品にも形を変えて残っていきます。難しさを売りにしたまま、遊ぶ側を上手くさせます。41年たっても名前が挙がるのは、この手ざわりが残っているからです。

シリーズ自体は、1988年の『大魔界村』、1991年の『超魔界村』、2006年の『極魔界村』と続きました。その後は2021年の『帰ってきた 魔界村』まで、15年の間隔が空いています。

カプコンが眠ったシリーズをどう起こしてきたかは、鬼武者の20年をカプコンはどう埋めたかで年数を並べています。

今遊ぶには

アーケード版は『Capcom Arcade Stadium』に収録されています。無料の本体アプリを入れたうえで、遊びたい作品を1本ずつ足す形です。Steamでは魔界村の追加購入ページから200円で買えます。

ファミコン版は、Switch向けのNintendo Classicsに収録されています。加入していれば追加の支払いはなく、任天堂の魔界村のページから配信状況を確認できます。

2016年のニンテンドークラシックミニ ファミリーコンピュータにも、ファミコン版が収録されています。こちらは生産が終わっているので、今から手に入れるなら中古を探すことになります。

原作の難しさを今の作りで味わいたいなら、2021年にSwitchで出た『帰ってきた 魔界村』という道もあります。

選べるのはアーケード版とファミコン版のどちらかです。当時の店先の手ざわりを知りたいならアーケード版、家のテレビで見た記憶をたどるならファミコン版が近いです。どちらを選んでも、最初の墓場は同じように手ごわいままです。

けん玉のひとこと

ゲームセンターでは遊んでいないので、初めて触れたのはファミコン版です。墓場を抜けられず、何度もやり直しました。それでも腹が立たなかったのは、死んだ理由が見えていたからなんですよね。落ちたのは自分が急いだからで、ゲームのせいにはできません。

今の目で見れば、2周目の強制はやりすぎに映ります。ただ、客に長く座ってもらうアーケードの作りとしては、理にかなっていたはず。理不尽と手ごたえの境目を、ぎりぎりまで攻めた設計だと思います。

難しいゲームは人を選びます。それでも41年たって名前が挙がり続けるのは、投げた分をきちんと返してくれるからなんですよね。1面で終わっても構わないので、一度あの墓場を歩いてみてほしいところです。

※ アーケード版の正確な稼働日は一次情報を確認しきれていないため、誤りがあればお問い合わせからお知らせください。

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以下のリンクから商品を購入されると、当サイトに紹介料が支払われることがあります。価格や在庫は変わることがあるため、各ストアでご確認ください。

Capcom Arcade Stadium

アーケード版の魔界村を収録。作品を1本ずつ足して買える

ニンテンドークラシックミニ ファミリーコンピュータ

ファミコン版を収録した2016年の小型機

帰ってきた 魔界村

2021年に出たSwitch向けの新作

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