ゲーム機には必ず、いちばん売れたソフトが一本あります。いちばん多くの人が買ったのですから、その一本はたいていハードの顔にもなります。
【連載 第1回】New スーパーマリオブラザーズ、ニンテンドーDSでいちばん売れた3,080万本

ニンテンドーDSの場合、それは『New スーパーマリオブラザーズ』でした。任天堂が公表している販売実績は3,080万本で、DS用ソフトの頂点です。
意外に思う人もいるかもしれません。DSといえば『nintendogs』や『脳を鍛える大人のDSトレーニング』が浮かぶ機種です。それまでゲームを遊ばなかった人まで巻き込んだハード、という印象があります。
ところが数字のいちばん上にいるのは、昔ながらの横スクロールのマリオでした。
3,080万本と、1億5,402万台
まず、この一本の中身を並べておきます。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| タイトル | New スーパーマリオブラザーズ |
| 機種 | ニンテンドーDS |
| 発売日 | 2006年5月25日 |
| 価格 | 4,571円(税別) |
| ジャンル | アクション |
| プレイ人数 | 1〜4人 |
| 世界累計販売本数 | 3,080万本 |
DS本体は世界で1億5,402万台を売っています。本数を台数で割ると、およそ20%です。本体を買った人の5人に1人が持っていた計算になります。
任天堂は国内だけの本数を出していないので、日本でどれだけ売れたかは公表されていません。この連載で扱うのは、いずれも世界での累計です。
上位10本の顔ぶれ
DS用ソフトの上位は、任天堂の資料では次のように並びます。
| 順位 | タイトル | 世界累計 |
|---|---|---|
| 1 | New スーパーマリオブラザーズ | 3,080万本 |
| 2 | nintendogs | 2,396万本 |
| 3 | マリオカートDS | 2,360万本 |
| 4 | 脳を鍛える大人のDSトレーニング | 1,901万本 |
| 5 | ポケットモンスター ダイヤモンド・パール | 1,764万本 |
| 6 | ポケットモンスター ブラック・ホワイト | 1,562万本 |
| 7 | もっと脳を鍛える大人のDSトレーニング | 1,488万本 |
| 8 | ポケットモンスター ハートゴールド・ソウルシルバー | 1,272万本 |
| 9 | おいでよ どうぶつの森 | 1,175万本 |
| 10 | スーパーマリオ64 DS | 1,106万本 |
数字は任天堂の販売実績によるもので、2016年9月30日時点のまま更新されていません。以降に大きく動く種類のソフトではないので、これが最終的な数値と見てよさそうです。
この表には、ひとつ引っかかる点があります。脳トレは2本入っていて、足すと3,389万本になります。1位の『New スーパーマリオブラザーズ』を上回る数字です。
続編を合算するかどうかで順位は変わる、ということです。数え方で数字の見え方が動くのは、ミリオンセラーの数え方を比べた記事でも触れたとおりでした。この連載では、任天堂が1行に分けているものは1本として数えます。
その前提で見ると、単体で3,000万本を超えたのはマリオだけです。
後から出て、いちばん遠くまで届いた
面白いのは発売の順番です。
『nintendogs』は2005年4月21日、『脳を鍛える大人のDSトレーニング』は同年5月19日に出ています。『おいでよ どうぶつの森』は同じ年の11月23日です。DSの最初の1年に、新しい客層を連れてきたソフトが立て続けに並びました。
『New スーパーマリオブラザーズ』が出たのは2006年5月25日です。本体の発売から1年半近く後になります。
つまりこの一本は、すでに広がった土台の上に置かれました。犬を育てるため、計算を解くために買ったDSが、家に何百万台とある状態から始まっています。そこへ「知っている遊び」が届いた形です。
同じDSには3Dの『スーパーマリオ64DS』もあり、1,106万本で10位に入っています。横スクロールの新作は、その2.8倍近くを売りました。
箱庭を歩き回る遊びについてはスーパーマリオ64の記事で書きました。DSで数を集めたのは右へ進むほうだった、ということになります。
ソフト1本で、4人まで
もうひとつ、この作品には本数を押し上げた作りがあります。
本編のほかに26種類のミニゲームが入っていて、タッチペンで遊べます。最大4人で競う「マリオVSルイージ」も収録されていて、こちらは持ち寄ったDS同士の通信で動きます。
しかもゲームシェアリングに対応していました。ソフトを持っているのが1人でも、その場にいる全員が遊べる仕組みです。
売れた本数は1本でも、触れた人はその何倍もいたことになります。誰かのDSを借りて遊び、面白かったから自分でも買います。この作品の伸び方には、そういう連鎖が効いていたとみられます。
もともとマリオは、ルールの説明がいらない遊びです。右へ進み、穴を飛び越え、敵を踏みます。初めてDSに触れた人に貸すソフトとして、これ以上に説明の短い一本はなかなかありません。
いま遊ぶには
正直なところ、この作品は遊びにくくなっています。
任天堂がいま配信しているNintendo Classicsの対象は7機種あります。ファミコン、スーパーファミコン、ゲームボーイ、ゲームボーイアドバンスの4機種です。
加えて、NINTENDO64、バーチャルボーイ、ニンテンドーゲームキューブも対象です。この一覧に、DSのソフトは入っていません。
結果として、2026年10月の時点でSwitchから手を伸ばす方法はありません。遊ぶにはDSか、後継のDS Lite・DSi・ニンテンドー3DSの実機を用意し、ソフトは中古で探すことになります。
3,080万本も出回った作品なので、中古の玉数は多いほうです。公式サイトもまだ残っていて、当時のままの画面を見ることができます。
けん玉のひとこと
DSは新しい遊びのハードだった、という言い方をよく見ます。数字を並べてみると、その言い方は半分だけ当たっているんですよね。
犬も脳トレも確かに上位にいますし、2本合わせれば脳トレのほうが本数は多いです。それでも1本ずつ数えたときに頂点にいるのは、右へ進むだけのマリオでした。
間口を広げたハードで、いちばん多くの人が手に取ったのが、いちばん形の古い遊びだったところ。ここが面白いと思うんです。
新しい客を集めることと、王道を出すことは、たぶん対立していないはず。集まった人に最初に渡す一本として、あれ以上のものがなかったというだけの話なんですよね。
だからこの連載の一回目に、この作品を置きました。ハードの1位は、そのハードが誰に届いたかを映します。数字の裏にある理由を、機種ごとに追っていきます。
みなさんがDSでいちばん遊んだ一本は、あの表に入っていたでしょうか。
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