ゲーム探訪連載「ドット絵のFFをたどって、レゾナンスへ」

【連載 第1回】ファイナルファンタジーI・II・III、ファミコン3作は成長の仕組みが毎回違った

ファイナルファンタジーI・II・III、ファミコン3作は成長の仕組みが毎回違った

ドット絵のファイナルファンタジーを発売順にたどる連載を始めます。行き着く先は、2026年10月22日発売の『ファイナルファンタジー レゾナンス』です(Steam版は23日)。最初はファミコンで出た3本から。

1987年の『I』、1988年の『II』、1990年の『III』。わずか2年4か月のあいだに出た3本ですが、成長の仕組みはどれも違います。チョコボや召喚魔法といった、後のシリーズでおなじみの顔ぶれもこの時期にそろいました。

2年4か月で、育て方が3通りに分かれた

作品 発売日 成長の仕組み この作品で始まったもの
ファイナルファンタジー 1987年12月18日 最初に選んだ職業で最後まで。終盤にクラスチェンジ 4つのクリスタルを巡る旅
ファイナルファンタジーII 1988年12月17日 レベルなし。使った能力が伸びる チョコボ、シド
ファイナルファンタジーIII 1990年4月27日 職業をいつでも入れ替えるジョブチェンジ 召喚魔法、たまねぎ剣士

3本ともスクウェアから出たファミコン用のソフトです。ナンバリングがファミコンで出たのはこの3本まで。次の『IV』からはスーパーファミコンに移ります。

7人で作った初代と「ファイナル」の名前

坂口博信さんは2007年、シリーズ20周年のファミ通のインタビューで初代のころを振り返っています。ドラゴンクエストがファミコンでRPGを成り立たせたあと、同じ道に挑んだ何本かの1本だったそうです。

開発チームは7人でした。社内には約20人の別チームが動いていて、自分たちは期待されていないと感じていたといいます。

開発中のROMをある雑誌の編集部に持ち込んだときは断られ、大きく扱ってくれたのはファミコン通信だけだったと語っています。発売前の注目は、決して大きくなかったわけです。

それでも坂口さんは出荷の数で勝負に出ました。当初20万本の予定だったところを、40万本に増やすよう社内に求めています。ROMの製造には2〜3か月かかるので、売れてから積み増しても間に合わない、という読みでした。

「ファイナル」の由来は、本人の説明が時期によって違います。2007年には、売れなければゲーム業界を辞めて大学に戻るつもりだったと、自分なりの区切りの意味を語りました。

一方、2015年の講演では、Fで始まれば何でもよかったと話したと報じられています。「エフエフ」と略せる名前がほしかったそうです。最初の案は「Fighting Fantasy」で、同じ名前のボードゲームがあったため使えなかったといいます。

Iは職業固定、IIはレベルなし、IIIは職業を入れ替え

『I』は、冒頭で6つの職業から4人の組み合わせを選び、その4人で最後まで旅をします。最初の選択が、エンディングまでの戦い方をまるごと決めてしまう作りです。

終盤には各キャラクターが上位の職業に変わるクラスチェンジがあり、見た目が変わって使える武器や魔法も増えます。魔法はMPではなく、レベルごとに使える回数で管理していました。

『II』は、そのレベルと経験値を捨てました。戦闘で取った行動や受けたダメージに応じて能力値が伸び、武器や魔法は使うほど熟練度が上がります。育てたい力があれば、その行動を戦闘で繰り返すことになります。

防具には重さがあり、重い装備は回避率を下げます。会話の中で覚えた言葉を別の人物に「たずねる」ワードメモリーシステムも『II』の仕組みです。チョコボとシドが初めて登場したのもこの作品でした。

『III』で入ったのがジョブチェンジです。移動中ならいつでも職業を変えられ、戦闘で貯まる「キャパシティ」を払って切り替えます。『I』のように最初の選択に縛られず、場面に合わせて組み直せるようになりました。

最初の職業のたまねぎ剣士は序盤こそ弱いものの、専用のオニオン装備が最強とされる作りも語りぐさになりました。召喚魔法もこの作品が初めてで、白・黒・合体の3種類があります。

『III』のジョブの考え方は、のちの『V』で別の形に育ちます。その話は『V』の回で追います。

数字は『II』『III』と伸びた

初代は、発売前の注目が大きくないところから始まりました。それが『II』では国内で約76万本が売れたとされ、『III』では約140万本に届いたとされています。

『III』はスクウェアの作品で『魔界塔士 Sa・Ga』に続くミリオンヒットになりました。ファミコン通信のクロスレビューでは40点満点の36点を取り、プラチナ殿堂入りしています。

ROMの持ち込みを断られた作品が、3本目ではファミコン通信のプラチナ殿堂入りまで来た。ファミコンでの2年4か月は、そういう道のりでした。

今遊ぶ方法

ドット絵のまま遊ぶなら、ピクセルリマスターが入口です。Switch、PS4、Xbox Series X|S、Steam、スマートフォンで出ています。

Steamでの価格は2026年10月14日時点で、『I』と『II』が各1,480円、『III』が2,200円です。各作の紹介はピクセルリマスターの公式サイトにまとまっています。

『III』には、2006年8月24日にニンテンドーDSで出た3Dのリメイクもあります。見た目がドット絵ではないので、この連載ではピクセルリマスターのほうを追います。

ファミコンの画面そのままなら、2016年発売のニンテンドークラシックミニ ファミリーコンピュータに『III』が入っています。生産は終わっているので、手に入れるなら中古です。

ほかのナンバリングも含めた入口選びは、ファイナルファンタジーはどれから始めるかにまとめました。

けん玉のひとこと

ファミコンの3本は、当時ひとつも遊んでいません。最初のFFが『IV』だった話は、最初のファイナルファンタジーが『IV』だったで書いたとおりです。

だから今回は、遊んだ記憶ではなく、作り手の言葉を頼りにたどりました。いちばん意外だったのは、期待されていなかった7人のチームが、出荷を倍にしろと言い出していたところ。「ファイナル」の覚悟より、こちらのほうがずっと具体的な賭けだったんですよね。

『II』は『I』の仕組みをなぞらず、レベルごと捨てました。『III』でまた別の答えを出して、140万本。守りに入らなかったから、このシリーズは40年近く続いているはずです。

次回はスーパーファミコンの『IV』です。毎回ちがう答えを出す姿勢が、新しい機種でどう続いたのかを見ていきます。ここから先は自分の記憶とも重なるので、一緒にたどってもらえるとうれしいです。

※ II・IIIの販売本数と、坂口博信さんの2007年・2015年の発言は一次情報を確認しきれていないため、誤りがあればお問い合わせからお知らせください。

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